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2026.02.01.
コラム
はじめまして、株式会社gin代表の渡邉裕介です
2026.02.01.
コラム
はじめまして。株式会社gin(ジン)代表の渡邉裕介です。
ginは2022年に横浜で創業した、対話AIと音声技術を軸にしたスタートアップです。現在約35名のメンバーで、エンタープライズ向けの音声対話AI実装や、ネッツトヨタ富山との営業支援AI・DX/AX事業の実証実験などを手がけています。プロトタイプ開発8件以上、累計10件以上の実装プロジェクト。創業四期目ながら、エンタープライズ領域で技術パートナーとしてのポジションを築いてきました。
今日はginの自己紹介として、何を作っている会社なのか、何を考えている会社なのかをお伝えできればと思います。
ginが目指す世界 ── 日本の国力を、合理性と人間の能力で引き上げる
ginは 「日本の国力を、合理性と人間の能力で引き上げる」 ことをミッションに掲げています。サブメッセージは 「人の可能性を解き放ち、すべての人がやりたいことに集中できる社会へ」。
「国力」とは、その国に住む人間が、安全に、自由に、自分の力を発揮しながら暮らせる総合的な能力のことを指します。経済力、技術力、現場の遂行力、意思決定の質——そのすべてが含まれます。
少し日常業務を見渡してみてください。「これ、人がやらなくてもいいのでは?」と思うものが意外と多くないですか。エクセルのデータを別のツールにコピペする転記作業。Slackの議論をJiraやNotionに咀嚼して書き写す作業。複数のSaaSに散らばった情報をひとつのレポートに手作業でまとめる時間。過去のメールを掘り返して「あのファイルどこだっけ」と探し回る時間。
Asanaが世界9,600人以上のナレッジワーカーを対象に実施した調査「Anatomy of Work Global Index」によれば、日本の従業員は業務時間の 58% を会議や進捗確認といった 「仕事のための仕事(Work about Work)」 に費やしています。スキルを活かした本来の仕事にかける時間はわずか28%。戦略的な思考に至っては15%です。
さらに「Anatomy of Work Index 2021」の日本版調査では、重複した仕事に年間170時間、不要な会議に年間120時間を費やしているとも報告されています。合わせて年間290時間。営業日ベースで換算すると 約36日分 ——丸々1ヶ月以上を「本来やらなくてよかった仕事」に使っている計算になります。しかもこの290時間は単に「消えた時間」ではなく、本来集中すべき仕事の時間を圧迫し、「残りの時間で何とかしなきゃ」と効率を上げきれないまま退勤する日常を生み出している。
経営の目線で見ると、この構造はそのまま人件費の非効率に直結します。従業員の業務時間の半分以上が価値を生まない作業に吸い取られているなら、それは販管費・固定費を押し上げる見えないコストです。同じ市場で、この非効率を解消した競合がいたとしたら——営業利益率に数ポイントの差がつく。それは経営判断としては無視できないインパクトです。
一方で、McKinsey Global Instituteが2025年に発表した調査「Agents, Robots, and Us」では、現在の技術で米国の業務時間の約57%を自動化できる可能性があると示されています。同レポートが強調しているのは、これは「仕事が消える」ということではなく 「仕事の再設計が必要になる」 ということです。
ginはまさにこの「再設計」の側にいます。AIを使って、転記や集計のような「人がやらなくてもいい仕事」から人を解放し、人が本来考えるべきこと・決めるべきことに集中できる社会を作りたい。それがginの存在理由であり、私たちが「国力を引き上げる」という言葉で本気で意味していることです。
ginという会社 ── 二つの関数に込めた哲学
社名の「gin」は、プログラミングの基本操作 get() と insert() の頭文字です。情報の本質は「取り出す」と「差し込む」の2つに集約される——この思想を社名に刻みました。
「取り出す」とは、引き出すこと。データを読み込むだけでなく、人の言葉の奥にある意図を、そしてまだ言語化されていない課題を「対話と観察」を通じて浮かび上がらせたい。「格納する」とは、次の行動につなげること。情報をただ整理して見せるだけでなく、それを受け取った人がただちに動きだせる状態にして渡すことで、本質的な価値を創出したい。
ミッションを達成するために、ginは次の二つのアプローチを取ります。
- 合理性の追求:無意味な手続き、忖度、形骸化した慣習を排除し、本来発揮できるはずの力を取り戻す。
- 人間の能力の底上げ:テクノロジーで人間の思考と判断の質を底上げし、人にしかできない領域に集中できる状態をつくる。
ginの思想 ── 「引き出すAI」
ginが作っているのは「答えるAI」ではなく 「引き出すAI」 です。
今のAIは「人間が正しく問い、AIが答える」という前提で設計されています。でも、現場で見てきた実感として、ボトルネックは常に人間の側にある。AIがどれだけ賢くなっても、適切な問いを立てられなければその力は引き出せない。
ginはこの構造を逆転させたい。AI側から問いかけ、対話を通じてユーザーの意図を引き出す。一人で考えていると同じところをぐるぐる回ってしまうのに、誰かに話すと不思議と考えが整理される——あの感覚をAIで再現しようとしています。
私たちが解決しようとしている課題はシンプルです。「情報を探す、という摩擦をゼロに」。コミュニケーションの摩擦が生む「転記」「照合」「合意形成の迷子」「誤解の修復」——目に見えない雑務が、人間のエネルギーを静かに削っている。技術でノイズを削ぎ落とし、人が人として、もっと自由に、もっと力強く動き出せる世界をつくる。その積み重ねが、国の力を底上げしていく。私たちはそう信じています。
「人とAIの共創」という考え方
正直に言うと、「AI活用」「AI導入」という言い方があまりしっくりきていません。道具として一方的に使うニュアンスがあるからです。
ginが目指しているのは 「人とAIの共創(Human-AI Co-Creation)」 です。人間が曖昧なインプットを出し、AIが構造化し、人間が修正し、AIが再構築する。このループが高速で回ることで、人間単独でもAI単独でも到達できないアウトプットが生まれる。
「AIが全部やってくれる」も「AIは道具に過ぎない」も、どちらも解像度が低いと思っています。AIに任せるべきものと、人間が握り続けるべきものの線引き——ここの解像度こそが重要で、ginはそこにこだわり続けています。
だからこそ、ginのAXコンサルティングでは「ツールを入れること」がゴールではありません。その組織の業務プロセスの中で、AIが本当に価値を発揮するポイントを見極め、人とAIの役割分担を設計し、AIが自然に業務に溶け込んでいく状態を一緒に作っていく。それがginの考えるAIトランスフォーメーションです。
事業の全体像
ginは大きく4つのサービスを展開しています。
SPARQX は自社開発の対話AIプラットフォーム(旧称 SPARK)です。音声から「言語化されていない意図」を引き出し、AIエージェントに引き渡す。声のトーンや間、迷いといった非言語シグナルまで解析するのが特徴です。
AXコンサルティング/FDE は、顧客の現場に深く入り込む Forward Deployed Engineer 型の支援サービスです。経営レベルで事業要件を引き取り、現場で実装まで責任を持つ。提案資料で終わらず、人月で売らず、PoCで止めない——AIブーム以前から続けてきたginの基本姿勢を、サービスとして言語化したものです。
セキュリティコンサルティング は、米国NIST策定の「NICE Framework」を土台に、セキュリティ人材の能力定義と組織配置を最適化するコンサルティング。AIを軸にした事業を進めるうえで、攻めと守りの両輪を持つことを大切にしています。
受託開発 はAI・Web・セキュリティ領域に特化しています。平均2ヶ月(約4スプリント)で意思決定可能なプロトタイプを仕上げる。技術スタックはPython、Node.js、Go、React、Next.jsを中心に、AWS・GCPをフル活用しています。
パートナーシップ ── 大手から地方まで
創業四期目のスタートアップですが、Gen-AX 経由でのエンタープライズ2社と、地方企業との直接協業を含め、現在は数社のクライアントと深く伴走しています。
Gen-AX 株式会社との技術パートナーシップ。ソフトバンク100%子会社の Gen-AX 株式会社 と技術パートナーシップを結び、エンタープライズ領域での対話AI実装をともに進めています。Gen-AX代表の砂金信一郎氏(元・マイクロソフト/LINE AIカンパニーCEO)との 対談記事 も公開しています。ginが実装の中核を担う立ち位置として、わずか2ヶ月でエンタープライズ級のプロトタイプを完成。12ヶ月以上継続する技術パートナーとして、複数の大手企業の現場へAIが届く流れを生み出しています。具体的なクライアント企業については守秘契約に基づき非公開ですが、業界を横断してエンタープライズの現場に深く入り込めていることを実績として積み上げています。
ネッツトヨタ富山とのAI・DX事業。北陸地方で10店舗以上を展開する大手自動車ディーラー、ネッツトヨタ富山との実証実験が進行中です。SPARQXを活用した 「慮りAI(おもんぱかりAI)」 をはじめ、導きAI、学ぶAI の3つのAI事業として、DX・AXの検証が本格的に始まっています。
慮りAIは、対話を通じてお客様の潜在的なニーズをリアルタイムで可視化し、営業スタッフの接客を支援するAIです。「おもんぱかる」——相手の気持ちを推し量る。日本語ならではの繊細な感覚を名前に込めました。単体のAIツールではなく、自動車ディーラーの業務全体をAIで再設計していく取り組みとして進めています。
Tier1エンタープライズと地方企業、両極の現場でAIを「導入」ではなく「再設計」として持ち込めていること。ここがginの希少性だと考えています。
ginの行動原理 ── 6つの VALUES
日々の判断をぶらさないために、社内には6つのVALUESがあります。
- やりたいことを持ち込む
- 阻害要因は合理的に排除する
- AIに渡せるものは渡し、人間にしかできないことに注力する
- 仕事をただの「労働」にしない
- 現場に憑依する
- 前提なしに、絶対に正しいものなどない
これは判断に迷ったときの羅針盤です。ぶれずに走り続けるための、私たちなりの言語化です。
これからのgin ── 20人で、ユニコーンへ
ここからは、少し未来の話をさせてください。
ginが本気で目指しているのは、「20人でユニコーン(時価総額1,000億円超)になること」です。
100人で売上数十億円の会社はあちこちに生まれます。でも、20人で時価総額1,000億円を作る会社は、世界にも数えるほどしか存在しません。私たちはここを本気で取りに行きます。無謀でも夢物語でもなく、AIとの共創を本質から実装しきれた組織なら、必ず到達できる地点だと信じているからです。
なぜ「人を増やす」のではなく「20人のまま圧倒する」のか。答えはシンプルです。人を増やすことで売上を伸ばす旧来の方程式を、ginの組織そのもので書き換えたいから。そのために、私たちは3つを徹底します。
- 一人ひとりを、経営からセキュリティまで全レイヤーを担えるハイスキル人材として育てる。
- AIとの共創で、一人あたりの生産性を10倍・100倍へ引き上げ続ける。
- PDCAサイクルを他社の10倍速で回し、仮説検証量と意思決定量で圧倒する。
これは思いつきの目標ではなく、ginのビジョン 「少人数で、他社を圧倒する」 を最も鋭く言語化した到達点です。「少人数で他社を圧倒する組織」をまず社内で実装し、その手法をSPARQXとして、AXコンサルティング/FDEとして、お客さま企業に輸出していく。そうやって、日本の現場にAIとの共創を実装し、結果として「国力を引き上げる」ところまで持っていきます。
2022年の創業から四期目。市場に残らなかったプロダクトもあるし、CEO交代も経験しました。決して順風満帆ではありませんでした。それでも、すべてが今のginにつながっています。Gen-AXとの技術パートナーシップ、ネッツトヨタ富山との3つのAI事業、そしてSPARQX——思想と技術と実績が、ようやく一つの線になり始めています。
20人でユニコーンへ。愚直に、しかし徹底的に。
このコラムでは、その挑戦の過程で得た知見や、ginの思想・技術・プロダクト開発の裏側を発信していきます。次回は「無限の知能の時代に、人間に残る仕事は何か」というテーマで書いてみようと思います。
一緒に挑戦してみたい方、AIトランスフォーメーションを一緒に進めたい方、SPARQXを試してみたい方、一緒に働きたい方——気軽に お問い合わせ ください。
株式会社gin(ジン)
- 設立: 2022年9月
- 所在地: 神奈川県横浜市
- 代表取締役: 渡邉裕介
- 公式サイト: https://g-in.co.jp
- SPARQX: https://g-in.co.jp/service/sparqx/
- AXコンサルティング/FDE: https://g-in.co.jp/service/ax-fde-consulting/
- セキュリティコンサルティング: https://g-in.co.jp/service/security-consulting/
- 受託開発: https://g-in.co.jp/service/agile-development-service/
参考文献
- Asana「Anatomy of Work Global Index 2023」— 世界9,615人のナレッジワーカーを対象とした調査。日本の従業員は業務時間の58%を「仕事のための仕事」に費やし、スキルを活かした仕事は28%、戦略的思考は15%にとどまるとの結果。
- Asana「Anatomy of Work Index 2021(日本版)」— 日本の従業員2,000人を含む世界13,000人超の調査。重複作業に年間170時間、不要な会議に年間120時間を費やしているとの報告。
- McKinsey Global Institute「Agents, Robots, and Us: Skill Partnerships in the Age of AI」(2025年11月)— 現在の技術で米国の業務時間の約57%が自動化可能。ただし仕事の消失ではなく「人・AIエージェント・ロボットのパートナーシップによる仕事の再設計」が本質であると指摘。
- 株式会社gin × ネッツトヨタ富山「PR Times プレスリリース」— 慮りAI(おもんぱかりAI)の取り組みについて。
- Gen-AX × gin 対談「Gen-AX × ginが描く、音声AIと共存する未来」— Gen-AX代表 砂金信一郎氏との対談記事。